敷金返還交渉や賃貸トラブルには法律の知識やノウハウを知らないと多大な請求に驚く場合もあります。トラブル解決の方法、ノウハウや、コツについて解説します。

横浜地裁判例(平成8年3月25日、事例5)

(事実の概要)
借主Xは、平成元年7月2日、Yとの問でマンション(新築物件)の賃貸借契約を締結した。
契約期間は敷金19万4千円とし、Xは同日Yに敷金を交付した。平成3年7月2日の契約更新時に賃料が1万円増額され、Xは同日Yに敷金を追加交付した。

●工事内容
a)畳六畳の裏返し
b)洋間カーペットの取り替え並びに洋間の壁・天弗、食堂、台所、洗面所、トイレ、玄関の壁・天井の張替え
c)網入り熱線ガラスニ面張替え
d)トイレ備え付けタオル掛けの取付け


(判決要旨)
これに対し一審(保土ヶ谷簡判)は、
1)畳は、入居者が替わらなければ取り替える必要がない程度の状態であったから、その程度の損耗は損害と解すべきである。

2)洋間カーペット、洋問の壁・天井等は、カビによる染みがあったために取り替えたものであるが、本件建物が新築であったために壁等に多量の水分が含有されていたことは経験則上認められ、また、居住者がことさらにカビを多発せしめるということはXがそのような原因を作出したとは認められない。

控訴審においては、
1)洋間カーペット、洋問の壁、洗面所、トイレ及び玄関の天井及び壁に発生したカビについて、相当の程度・範囲に及んでいたこと、本件建物の修繕工事をした業者が同一建物内の他の建物を修繕をしたが、そこには本件建物のような程度のカビは発生していなかったことから・本件建物が新築でカビが発生しやすい状態であったことを考慮しても、Xが態様で使用したことから当然に生じた結果ということはできず、Xの管理、すなわちカビが発生した後の手入れにも問題があったといわざるを得ない。

2)カビの汚れについては、Xにも2割程度責任があり、「故意、過失により建物を損傷した有責当事者が損害賠償義務を負う」旨の契約条項により、Xは本件カーペット等の修繕費15万5200円のうち、約3万円を負担すべきである。

以上から、原判決(保土ヶ谷簡裁)を変更し、Xが請求できるのは、敷金21万4千円から3万円を差し引いた18万4千円とした。


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