具体的損耗事例
床建具(窓、ふすま等)の損耗事例
今回の具体的損耗事例は床建具(窓、ふすま等)編についてお届けします。
1)窓ガラス
借主の不注意や過失が原因で窓ガラスにヒビがはいった、割れたなどの場合は当然借主の負担となります。しかし、地震で割れた場合は、自然災害による破損となりますので、借主に負担の責任はありません。
2)網入りガラス
網入りガラスのヒビ割れが発生するときがあります。これは構造的なも
ので金属とガラスの膨張率が異なることから自然に発生するケースもあ
ります。したがって借主の責任ではありません。
3)網戸の張替え
網戸が破損していなくても入居者が入れ替わる場合は張り替えることが
多いです。その場合は次の入居者を確保するための物件の価値を高める
維持、管理の問題ですので家主が負担するのが妥当です。
4)飼育していたペットがキズつけた柱やふすまの破損
猫などを室内で飼育しているとツメを研ぐために柱にキズをつけたりす
ることがあります。共同住宅では今だペットの飼育は一般的ではありませんが、これは飼い主の躾の問題でもあり、たとえ軽微なキズでも
借主の責任とみなされるケースが多いものです。
5)ふすまの日焼け、変色
退去時にたいていふすまや天袋の張替え費用は管理会社からよく請求
されますよね。
その場合借主の過失による損耗、破損は当然借主の負担となります。
ただし、日焼けや変色の場合は自然損耗ですので借主の負担にはなり
ません。
床(畳、フローリング、カーペット)の損耗の事例
今回の具体的損耗事例は床(畳、フローリング、カーペットなど)編についてお届けします。
1)畳やフローリングの変色、色落ち
日照などは通常の生活では避けられないものですので、それが原因の変
色や色落ちは借主が負担する責任はありません。
2)家具の設置による床、カーペットのへこみや設置跡
人が居住すれば家具を設置するのは普通のことですので、設置だけで生
ずるへこみ、跡は自然損耗になります。したがって借主が負担する必要
はありません。
3)キャスター付きのイス等によるフローリングのキズやへこみ
キャスター付きのイスを使用すれば、その転がりがどういう結果をひき
おこすかは当然予想されます。したがって借主はその使用については
充分注意する必要があります。
軽微なキズなら問題ないかといえますが、その程度によっては家主より
善管義務違反と取られるケースもあります。
4)カーペットに飲み物などをこぼしたシミ、カビ
通常の生活で飲み物をこぼすなんてのはよくあることです。ただ、そのあとの始末についてはちゃんと手入れしておくことが無難です。
手入れを怠ることでシミ、カビにまでなれば借主の善管義務違反として
責任を問われる場合もありうるということは想定しておきましょう。
この場合もキャスターと同様です。
5)フローリングのワックスがけ
借主の退去後に家主が原状回復費用(ハウスクリーニングに含ませる)
として請求するケースもあります。
これは物件の維持管理に関する問題であり、借主には全く負担する責任はありません。
クロス、床の損耗について、管理会社などはさも借主が負担するのは当然のような論旨を展開してきます。
彼らの言うことに惑わされないよう"毅然"と反論しましょう。
そうすれば、こちらが敷金を取り戻すのに本気だと伝わります。
これって意外と重要なことなんですよ。
クロス(壁)の損耗・汚れの事例(その2)
クロス(壁)についての解説(その2)です。
番号は前回からの続きからナンバーリングしてます。
7)電化製品(テレビ、冷蔵庫など)によるその背面のクロスの黒ずみ
入居した当時真っ白だったクロスもいわゆる電気やけによりだんだんと黒ずんできます。
テレビ、冷蔵庫などは生活必需品ですのでこのような電気やけの損耗も借主の通常使用でも避けられない現象ですので、借主の負担ではありません。
8)エアコン設置による壁のネジ穴やビスの跡
テレビ、冷蔵庫と同様にエアコンを設置している家庭がほとんどでしょう。したがって、これらの設置による壁のネジ穴やビスの跡も通常使用による損耗として借主が修繕する必要はありません。
9)エアコンからの水漏れによる壁の腐食やカビの発生など
エアコンの保守・点検は所有者の行うものであり、その保守や点検を怠ったために発生した損耗については借主の善管義務違反として借主がその修繕費用を負担することが多いようです。
また、そのエアコンが家主所有で最初から設置されている場合でも、借主が水漏れに気ずいていても放置している場合には、やはり借主の善管義務違反として借主にその修繕費用の負担を求められるケースが多いようです。
10)結露の放置が原因のクロスのカビやシミ
結露は、建物の構造によって決まります。したがって、このケースも通常使用によってもありうるケースですので、借主が負担する必要はありません。これは判例にもでています。
11)引越し時にできた引っかき傷
引越し時に家具の移動の際に、友人と一緒に運んでいた家具があたって壁に大きな傷ができたなんてこともあります。
この場合は借主の善管義務違反としてその修繕費用の負担を求められるケースがありますので注意してください。
12)犬やネコなどのペットの引っかき傷
賃貸マンションなどでは、今だペットの飼育可というところは少ないと思いますが、ネコの爪の手入れで引っかき傷が激しい場合など、借主の善管義務違反としてその修繕費用の負担を求められるケースが多いです。
このようにペットを飼育する場合は充分に注意する必要があります。
最近ペット可とする賃貸マンションもありますが、この場合も同様ですので大きな傷は借主負担を求められますが、軽微な傷は家主との話合いになりますが、免除となるケースもあるようです。
クロス(壁)の損耗・汚れの事例(その1)
退去後にもめることが多いのはやはり損耗を経年変化か借主の故意、過失かと判断することでしょう。
当然管理会社と借主の見方は異なります。
具体的な損耗の負担についてどちら側が負担するかを事例をあげながら解説していきます。
まずクロス(壁)のケースについて解説しましょう。
1)日光によりクロスが変色した場合
これは簡単ですが、日に照らされて入居した当時真っ白だったクロスもだんだんと変色してきます。これは借主の通常使用でも避けられない自然現象ですので、借主の負担ではありません。
2)ポスターや絵などを壁に貼った画鋲やピンの穴
ポスターや絵を壁に貼るという行為は借主が通常に行うことであり、したがってこれらの画鋲やピンの穴は借主が修繕する必要はありません。
3)壁に物を設置した際の釘やネジの穴
鏡や時計を壁に設置することは多いです。これらは重さも軽いので釘など壁に打ち込んでささえることが多いですが、これも借主は負担する必要はありません。
では、大きな棚のようなもので重量物など通常設置するとはいえない場合はどうでしょうか。これらを設置すると結構大きな釘穴、ネジ穴で下地ボードに貼り替えが必要な場合はあるでしょう。これらは通常の損耗を超える範囲として借主が負担するケースが多いようです。
4)壁にポスターや絵を貼った跡のクロスの変色むら
このケースも通常使用によって普通にあるケースですので、借主が負担する必要はありません。
5)タバコのヤニによるクロスの黄ばみなど
室内でタバコを吸うこと自体は通常の使用の範囲であり、特に違反ということにはあたりません。ですからよほどのヘビースモーカーで部屋の汚れが尋常ではないと判断されないかぎりは通常借主が負担するということはありません。
しかし、やはり臭いや黄ばみが目立つと管理会社は借主の責任ということでいい口実を与えることにはなると思います。
これを避けるにはやはり写真を撮っておいて備えるしかないのですが、臭いや黄ばみとかは主観の問題であり揉める原因にはなりますので、調停などで第3者の判断に委ねられるケースもあります。
6)クロス、壁への子供の落書き
これは借主の善管義務違反として認定されることがほとんどでしょう。
借主の負担となることが多いです。