2014年4月:敷金返還・賃貸トラブル相談室

敷金返還交渉や賃貸トラブルには法律の知識やノウハウを知らないと多大な請求に驚く場合もあります。トラブル解決の方法、ノウハウや、コツについて解説します。

2014年4月

国土交通省の原状回復の負担のガイドラインとは?

国土交通省は、原状回復の負担についてガイドラインを示しています。

このガイドラインは、退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準をまとめたものです。

【ガイドライン例】
★貸主負担分
・破損していない畳の裏返しや表替え
・家具による床などのへこみ
・日照による畳やクロスの変色
・タバコのヤニ
・テレビや冷蔵庫後部の黒ずみ
・壁などの画びょう、ピンなどの穴
・専門業者による全体のハウスクリーニング
・台所、トイレの消毒
・浴槽、風呂釜の取り換え
・破損や紛失していないかぎの取り換え

★借主負担分
・設備機器の故障、使用不能
・カーペットに飲み物などをこぼしたことによるシミ、カビ
・冷蔵庫下のサビ跡
・引越し作業で生じたヒッカキキズ
・雨が吹き込んだことなどによるフローリングの色落ち
・台所の油よごれ
・結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ
・壁などのくぎ穴、ねじ穴
・天井に直接つけた照明器具の跡
・飼育ペットによる柱などのキズ
・風呂、トイレ、洗面台の水あか、カビなど
・日常の不適切な手入れもしくは用途違反による設備の毀損

このように、具体例を示していますが、あくまでも一般的な基準であり法的拘束力はありません。 また、特約についても「必要性がありかつ客観的で合理的理由」があれば認められます。


小額訴訟の制限とは

小額訴訟には回数の制限があります。同じ当事者が同じ裁判所で利用できる回数は年10回に制限されています。 (これはヤミ金融の取立てに制限を加えるためです)

被告がもし反対した場合小額訴訟は起こせません。被告には小額訴訟かもしくは通常訴訟によるかの選択権が保障されているのです。

小額訴訟の判決には控訴ができません。異議申立ては認められています。異議申立ては判決書または調書の送達を受けた日から2週間以内にしなければなりません。

異議申立てがされた場合は、訴訟は口頭弁論終結前にもどり、同じ簡易裁判所で通常裁判となります。


小額訴訟~法廷での審理

法廷には裁判官の他、民間から選ばれた調停役の司法委員と書記官が出席します。裁判所にもよりますが、東京簡易裁判所の場合にはラウンドテーブルを囲んで裁判官も背広という雰囲気の中で審理が進められます。

最初に裁判官が小額訴訟についての注意点を説明してくれます。その後、裁判官が争点整理をして、当事者の主張を聞いたり証拠調べをします。和解できるものには和解の勧告をします。和解できなければその日のうちに判決を下します。

小額訴訟の判決では、3年を限度に分割支払を認めたり、支払猶予を認めたりします。また、請求を認めた判決には、仮執行宣言が付されますので強制執行ができます。


小額訴訟の手続き

少額訴訟の訴状は簡易裁判所に提出します。この場合、敷金返還請求・賃金返還・売掛金といった定型フォームがあって、それに書き込めばいいようになっていて簡単にできます。

訴状の提出先は債務者の住所の簡易裁判所です。

訴状が受理されると口頭弁論の期日が指定され、呼び出し状が送付されてきます。その時原告には説明書が、被告には訴状副本が送られてきます。

被告は主張したいことがあれば答弁書を裁判所に提出します。この答弁書も定型フォームが簡易裁判所に用意されており簡単に作成できます。

提出できる証拠は当日に取り調べることができるものに限られ、証人も当日に法定に在廷可能な者に限定されます。


小額訴訟とは

債権が60万円以下の金銭支払請求に限られますが、1日で審理が終わり直ちに判決が言い 渡されます。弁護士とかを用意する必要もありません。
小額訴訟は民事訴訟法にその規定があります。(368条から381条まで)

【小額訴訟が規定された背景】
金銭の支払いに関するトラブルの解決法の1つとして、従来は裁判における債務の確認と支払い、強制執行権の付託を請求して争うことがほとんどでした。しかしながら、例えば

1)アルバイト・パート賃金の不払いトラブル
2)敷金の返還を求める
3)個人との間における借金で少額なもの

などのような訴訟金額が少額であるトラブルでは、わざわざ通常の裁判を起こすと、時間の面や費用の面で全く割りが合わず、結局原告側に泣き寝入りせざるをえないなどの問題がありました。

このような背景から、少額の金銭トラブルに限定して、訴訟費用を抑え、さらに迅速に審理を行う制度としてこの小額訴訟が設けられました。初めは30万円以下の訴訟が対象とされましたが、想定外の利用者が集まり、加えて異議申立ても少なかったことから、裁判所側としては概ね制度としては順調と判断されたようであり、2003年(平成15年)の民事訴訟法改正で取り扱い枠が広げられて、現在では60万円以下を取扱の対象となっています。

また小額訴訟の特徴としては
1)被告に資力がない場合は、判決で分割払い、支払の猶予などを定められる(第375条第1項)
2)控訴できない(第377条)。ただし、異議申立てはできる(第378条)
3)異議後の判決に対して控訴ができない(第380条1項)ただし特別上告できる(第380条2項)

などがあります。

小額訴訟は少額といえども、適切な対応が求められます。例えば通常裁判と同じように答弁書その他の準備書面を提出せずに口頭弁論期日に欠席すれば擬制自白が成立して、自動的に敗訴となり、強制執行が可能となる少額訴訟判決が出されますので注意が必要です。

さらに、反訴はできないので、審理に入る前に通常訴訟への移行を申し立てた上で反訴を提起する準備も考慮するケースもあります。


内容証明郵便の書き方(その2)

1)年月日・住所・氏名

 文章中に必ず、以下の事項を書きます。
 ・作成年月日
 ・差出人住所・氏名
 ・受取人住所・氏名

記載する場合の筆記用具は、どういうものを使用しても構いません。ただし改ざんが容易な鉛筆はこのましくありませんので、しようすべきではありません。またはワープロ文書で作成してから印刷してだすこともできます。


2)郵便局に持っていくもの

 ●内容文書(同じもの)  計3通
 ●送付用封筒
 ●印鑑-郵便局で訂正を求められたときのために必要
    (文書に押印したのと同じ印鑑)

3)封筒
 宛名を書いた封筒を、封をせずに郵便局に持参します。
 封筒の住所・氏名は、本文で書いた住所・氏名と同じにする必要があります。

4)印鑑と提出の仕方
 実印の必要はありません。
 内容証明で使用する印鑑は、すべて同一のものを使用ください。

3通の文書のうち1通は郵便局において保管されます。
残りの1通は差出人に返却されます。

郵便局員の面前で、差出人は送付する文書を封筒にいれます。
差出人が内容証明郵便を封をしたのち郵便局が受け取り、郵送することになります。

そのときに配達証明付きでと依頼することをおすすめします。そうすると後日受取人に配達されたことを証明する配達証明書が、差出人あてにハガキで郵送されます。


5)内容証明の郵便料金

 ・内容証明料  ;本文1枚420円。1枚増すごとに250円
 ・通常郵便料金 ;定型25g⇒80円。定型50gまで90円
 ・書留料金   ;420円

※受取人に届いたことを証明したいときは別途配達証明料金がかかります。
 配達証明料金⇒300円。

金額の合計)本文が1枚で定型25g以内、さらに配達証明をつける場合
  420円+80円+420円+300円=1,220円

実際の郵送にかかる金額は文書の枚数・重量によって変わります。
郵便局で今一度ご確認してください。

内容証明の料金は、一般郵便料金以外に、書留料金、内容証明料、配達証明料が必要となります。


内容証明郵便の書き方

内容証明郵便の書き方について少し解説します。

1)用紙・字数・行数
内容証明郵便では用紙の大きさ、記載用具に制約はありません。
1枚につき、1行は20文字以内で26行以内、句読点、「」なども一字として数えます。

内容証明書用紙が文房具店で販売されています。
この内容証明郵便専用のマス目が印刷された用紙は、使用する上で大変使いやすいでしょう。
内容証明を書いたことがない方や慣れない方はこの市販品を使用した方が便利です。市販品はそのまま使用することができます。

複数の相手先に同一内容で内容証明郵便を出すことも可能です。この場合(これを同文内容証明郵便とよぶ)、2通目以降の内容証明料が半額となります。(この場合には完全同文内容証明郵便と不完全同文内容証明郵便の2種類あり)

内容証明を出した各郵便局ではその謄本の保存期間が決められており、5年です。
差出人は郵便の受領証を提出して謄本の証明をすることも可能です。
 

2)部数
内容証明の文章は、3通とも同じものを用意します。この場合はコピーでもかまいません。内容文書は1通を受取人に郵送、1通は郵便局にて保管、もう1通は差出人が保管することとします。

3)訂正の仕方
訂正・削除する文字の上に、文字が判読できるように二重線で消し、訂正・削除した箇所の上欄に、例えば「2字訂正」「3字削除」「1字加入」と書いて、押印します。

通常、内容証明郵便を扱っている郵便局は本局となり、小さな郵便局では扱っていません。

相手に内容証明郵便が配達された後に、その郵便が配達したことを証明するはがきが差出人送られてきます。この配達証明は内容証明を出すときに選択できますが、通常はこの配達証明付きで依頼することがほとんどでしょう。。


内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、○年○月○日に誰から誰あてに、どのような内容の文書が差し出されたかを郵政事業庁が証明する制度です。それがいろいろな場合で法的な証拠になるというもので、多くの証拠を必要とするケースでさまざま使い方がなされています。

例をあげて説明してみましょう。文書の内容を証拠として残したい場合などに内容証明を利用します。
相手に対して何かを間違いなく伝えたいことがあるとして、それを証明しようとすると、どうしても文書として残すことが必要になってきますよね。


もし、コピーを残してある手紙を相手に手渡すと仮定して、その手紙がまちがいなく相手に渡ったかというと、簡単に証明することはできませんよね。

もちろん手紙をだすだけでは、その内容が伝わったかは誰にも証明する事ができません。この手紙が間違いなく相手に伝わったかどうかをどうすれば証明できるのでしょうか?そうして、その手紙が間違いなく相手に届いたことを第3者が証明してくれるが、内容証明郵便というものなのです。

ところが、この内容証明郵便とは大変大きなパワーを保持しています。
というのはその内容証明を受け取った者は、普通の手続きで配達された郵便とは考えられないくらいの強い圧力を受けるのです。心理的な感覚としてはおそらく内容証明で深手を負った感じでしょう。

その理由は内容証明を受け取った者が内容証明にあたかも国家機関から発行されたような錯覚さえも覚えてしまうことだと思います。
法論理的な文章に加え内容証明のもつ独特の書式がそのような錯覚を助長さすぇているのでしょう。

こうして内容証明が法律の紛争を上手に避けるとても有効な手段とされているのです。

もし法律に関するトラブルに巻き込まれ、不本意にも訴訟になった場合に大変有効な証拠になる方法だといえます。、



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